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心理療法システム編
第7巻 統合失調症およびその他の重度精神障害への
効果的な精神分析療法
Psychoanalytic Therapy of Schizophrenia and Other Severe Disorders
バートラム・P・キャロン博士
Bertram P. Karon, PhD

監修:S・マーフィ重松(東京大学助教授) 監修・翻訳:岩壁 茂(お茶の水女子大学助教授)
■VHS ■日本語字幕スーパー ■収録時間:59分 ■解説書付

■商品コード:VA-2007 ■¥48,600(税込)
統合失調症の妄想が強く幻覚や幻聴があり外界との接触が弱い時、言葉のやりとりというチャンネルを使う心理療法は不可能でなくとも困難であると広く信じられている。実際に、うつ、不安、恐怖などを対象とする心理療法の理論や方法が数多く存在するが、統合失調症を扱う理論は数が少なく、頭語失調症患者に対する「対話」による治療を疑問視する心理療法家も多い。キャロン博士は、長年に渡り、統合失調症患者に対する精神分析的療法の研究の第一人者であり、統合失調症患者に対する介入法の開発に取り組んできた。最も扱いにくいとされる分裂病の症状である幻覚、幻聴、妄想、現実からの乖離を治療を妨害する要因として捉えず、夢、あるいは転移や防衛機制として解釈することにより患者の理解を深め、作業同盟を強化するキャロン博士の手続きは、統合失調症患者をはじめ、様々な妄想障害への応用が可能である。

バートラム・P・キャロン博士
(ミシガン州立大学教授)
バートラム・キャロン博士について

バートラム・キャロン博士は、プリンストン大学より博士号を取得し、現在ミシガン大学にて臨床心理学の教授を務める。現在はミシガン州精神分析評議会会長、過去には、ミシガン州精神分析的心理学学会及び、アメリカ心理学会の精神分析支部会長を歴任し、これまでに、精神分析訓練協会ニューヨーク支部(The New York Society of Psychoanalytic Training)より、精神分析に関する優れた出版(キャロンとバンデンボス著、「精神分裂病の心理療法:選び抜かれた治療法(Psychotherapy of Schizophrenia : The Treatment of Choice)」)と卓越した精神分析家に対する表彰(The Distinguished Psychoanalyst Award)、アメリカ心理学会大学院生部からは卓越した大学院訓練者へのファウラー賞(The Fowler Award)を受賞した。また博士は現在アメリカ心理学会、第12支部、第29支部の評議員であり、臨床心理学の認定資格を有し、ミシガン州心理療法研究所プロジェクト(精神分裂病患者の治療において心理療法と薬物療法を比較する)の中心的な研究者として活躍している。



精神分裂病およびその他の重度精神障害への効果的な精神分析療法の概要

この心理療法は精神分析的アプローチであり、全ての症状に意味があり、主観的に体験された個人の歴史と関係しているという前提に基づいている。よって、無意識が重視され、人間の発達と心理療法に関して精神分析がこれまでに明らかにした全てのことが統合失調症の治療においても当てはまると考える。

統合失調症は、長期にわたる極度恐怖症候群(Chronic Terror Syndrome)である。精神病的症状を起こす患者は誰でも「気が狂って」しまうような生活を送った過去をもっており、よって患者が問題だと感じることに対して、真の援助を提示することにより治療同盟を作ることが必要である。症状が重篤な患者は、どんなことでも扱うことができる、暖かく強い治療者が必要であり、患者の病態が悪くなればなるほど、治療者はより明確な枠組みと大きな支持を与えなければならない。意識の水準での洞察は有効であるが、強力で安全な治療関係の内部でないとそれは堪え難いものになってしまう。また幻覚は夢のように理解、解釈され、妄想は、主に@広く世界全体に対する転移、A擬似同性愛的不安に対する防衛的反応、B個々の家族に特徴的な概念や意味づけ、C奇怪な体験や症状の中で、自分の世界や生活を理解しようとする試み、として理解される。患者は治療者を通して修正的同一化を行うが、このとき治療者は、より破壊的でない超自我として、両親を基底とする懲罰的な良心に取ってかわり、自分がどのような人間あるか示すことによって自我のモデルともなる。また治療者との関係は、普通の人間関係の一つの姿として内在化されるが、患者は内在化されたもののうち役に立つものしかとっておかない。患者は健康になるにつれてより積極的な役割(そして治療者がそれに応じて積極性を減らす)を執るようになり、治療過程は神経症患者に対する精神分析的療法に似てくるのである。



クライエントの素性

■バージニア
■年齢:29歳
■性別:女性
■婚姻関係:22歳で結婚(7年前)
■職業:小学校教師
■教育歴:大学卒
■夫:28歳、学校教師
■子供:5歳娘、2歳娘
■両親:両親ともに健在;父、51歳;母、49歳



関連する出来事

数ヶ月前、バージニアは、次女の誕生日会で極度に緊張して興奮状態となり、娘と自分の安全が心配で、周りにいる男性をひどく恐れた。彼女は自分や二人の娘の周囲に男が近づくと飛び上がるほどびくつき、娘達をつかみ抱きかかえると、男達に向かって遠くへ行くように言い付けた。夫でさえ疑い、同じ部屋に寝ることを拒み娘の部屋の床に寝床をとるようになった。この状態が数週間続いたあと、夫が彼女を精神病院へ入院させた。彼女は3週間入院していたが、向精神薬の投与で状態が安定したために2週間前に退院、退院時にキャロン博士が紹介された。

はじめての入院は、彼女が17歳の時だった。悪魔のような生き物が、彼女の身体にナイフのようなものを突き刺して、彼女を傷つけ身体から何かを切り取ろうとするという妄想が見られたあとに、入院することとなった。(妄想の詳細は不明)。

2度目の入院は26歳の時で、次女が2歳になったすぐあとで精神病院に入った。彼女は近所で作業中の電気工事会社の作業員、ゴミの回収人、郵便配達人、電話工事作業員などが、大量殺人犯であり、彼女の家に侵入し、彼女を強姦して殺したあとに娘を誘拐しようと目論んでいると信じ込んでいたのである。そしてブラインドを降ろし、数日間に及んで家の中に娘と閉じこもっていたために、夫が彼女を精神病院に連れていった。3週間の入院と向精神薬による治療のあと退院したが、投薬治療は続けられていた。

ところで彼女が3歳の時、彼女の両親のルーとベティーは、養育の拒否・放棄により裁判所に呼び出された。ルーは、多数の機会に数人の男友達に娘の裸を見せたり、触らせたりしていたという疑いであった。ベティーはこれらが起こった際に家を留守にしており、男達がその家で酒を飲んで、バージニアもビールを飲まされた可能性があった。しかしルーは彼女に対して直接性的虐待を与えたという罪には問われておらず、二人とも上記のようなことが起こっていないと否定した。調査のあと、証拠不十分のため二人に対する起訴は取り下げられた。

さらに彼女が11歳の時、またも両親の養育拒否・放棄の届け出があった。状況は前回とほぼ同じであったが、今回は数回に渡り性交渉が強要されたということであった。彼女は性行為があったことを、ソーシャルワーカーには証言したが、のちの調査では何もなかったと自らの証言を否定した。社会福祉の局員が確かな証拠を提示できなかったために、この訴訟も取り下げられた。

2度目の起訴の時に行われた心理査定はバージニアが「前境界例」状態にあることと示した。心理士は思春期に入るにつれて彼女の心的機能が悪化すると予測し、この予測は部分的にではあるが正しかった。彼女が12歳で初潮を迎えた時、学校での成績がそれまでの平均、BプラスからCのレベルまで落ちた。恥ずかしがり屋の傾向が強くなり、引きこもりがちになった。そして、同年代の女子や男子と自発的にかかわりをもつことはほとんどなくなっていった。(12歳から15歳のころ)。15歳の時、彼女は良い成績を取り戻し、科学部、学校新聞、卒業アルバムの委員会などに入り活発さも取り戻した。思春期中期以降は、人から「孤独な人間」と見られ、デートをすることはなかった。



これまでの面接の経緯

初回面接


初回の面接は、キャロン博士が「どうやったら自分があなたの力になれるか」とバージニアに尋ねるところからはじまった。博士は彼女が最近3回目の入院生活を終えたところで、向精神薬を飲んでいることを知った。彼女が薬を止めようか考えていると伝えると、博士は、薬なしで我慢できるかどうか彼女自身が一番それを判断できるはずだと伝えた。そして、もし薬を止めるなら、一度に止めるのではなく、次回の面接の直前の一回分の服用をせずに面接に臨み、博士自身が「彼女の一番ひどいときの状態を見てから」ではどうかと尋ねると、彼女は薬を止めるならこの方法でやると同意した。さらに、自分自身、仕事、娘、夫婦関係、幼少期のこと、両親との関係について話してくれるように頼むと、彼女はそれに応えた。



第2回面接

バージニアは薬を飲まなかったせいか、幾分怖がった様子だった。キャロン博士が彼女が怖がっていることについて仮説を述べたところ、彼女は夫が娘達を傷つけているのではないかという恐怖について話した。そして11歳か12歳のころに裁判所に行ったことや、小さいころに性的なやり方で複数の男に触られたことをうっすらと思い出した。この面接の最中に、彼女は韻を踏む声を聞きはじめて、恐怖を感じた。



第3回面接

ビデオに収録


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